コラム
日曜日の犬たち Ⅲ
ゴールデンレトリーバーは 〇〇でできている
本日は母の日。全国各地のお母さま、ならびに母親役の皆様、いつもありがとうございます。ペットたちに代わりお礼を申しあげます。

「産んでなくてもかわいいこども」 これは、あるペット保険会社のフィロソフィーのひとつ。ペットを母親のように愛するわたしたちにとって、なんともココロニクい名言ですね。母になれた喜びをかみしめつつ、いつもよりも母性多めでお送りする日曜日の犬たち。今回の愛すべき犬はオールマイティな大型犬、ゴールデンレトリーバーです。

【ゴールデンレトリーバーの半分は、やさしさでできている】そう断言しても否定する人はおそらくいないでしょう。たれ目、たれ耳、ブロンドの毛並み。揺れる尻尾はいつでもハッピー。体重はおよそ30キロ前後、温和で賢い大型犬として広く知られます。イギリス原産である本犬は狩猟犬というカテゴリーに属していますが、良き家庭犬としての要素を強く持って生まれてきます。

わたしも長年のファンです。当時、ペットショップで売れ残っていたゴールデンレトリーバーを家族に迎え、その魅力にドップリと浸かりました。「陽性強化」という訓練方法がアメリカから導入されたのもちょうど同じ頃です。悪い行動を叱る、から、良い行動をほめる、へ。まだ日本で一般的に認知されていなかった訓練方法はゴールデンレトリーバーの持つ「ほめて伸びる」性質に見事にマッチし、室内でも飼える大型犬として瞬く間にブームを巻き起こしました。

本犬がしばしば「オールマイティな犬」とされる理由は、どのシーンにおいても柔軟に対応できる適応力にあります。こう書くと、あたかも生まれる前からあらゆる都合のいいソフトが内蔵されているような印象を受けがちですが、そうではありません。ソフトを入れられるだけのスペックを持って生まれる犬だと思ってください。良いハートを持っていますから、叱るのは最小限。同じだけの愛情をたっぷり注げば、それだけでゴールデンレトリーバーとの暮らしは豊かなものになります。

先日のこと。友人の飼う1頭のゴールデンレトリーバーに再会しました。子犬の頃に会ったきりですから実に14年ぶり。大型犬の14歳といえばスーパー・ハイ・シニアです。「この間、脾臓(ひぞう)を摘出したばかりなの」と聞いていたので、私はちょっとばかりの覚悟を持って彼女に会いに向かったのです。しかし、彼女は私の顔を見るなりスックと立ち上がり、ニコニコと笑ってくれました。くわえて尻尾をブンブンふっておでこをくっつけてくれる大歓迎ぶり。(え?犬が笑う?と思われた方もいらっしゃるでしょう。けれども犬は笑うのですよ)どんなときでも親愛と笑顔を絶やさない犬。ディスイズゴールデンレトリーバーだと彼女が身体で表現しているように感じ、誇らしい気持ちになりました。自身のハッピーを人に分けてくれる犬なのだと、本犬の持つ魅力に圧倒された日でした。

ゴールデンレトリーバーの半分はやさしさでできています。と冒頭で申し上げましたが、付け加えます。もう半分はあなたのやさしさでできています。

子犬育てに奮闘中の方、若犬盛りの彼らとおでかけ満喫中の方、老犬としっとり生活をエンジョイしている方、病気と闘っている方。そして命の残り火を介護サポートしている方。すべての犬たちの母に感謝とエールを。
さて、日曜の午後。心地良い風に吹かれながら、犬と一緒にシエスタを楽しむ方も多いでしょう。そうこうしているうちに時刻は夕方。いち日、ひと足、ひと呼吸が、貴重でかけがえのない瞬間です。あなたと、あなたのとなりの小さな笑顔がいつまでも続きますように。See you next Sunday!
天国のトフィーを追悼して
岩井 ゆかり
