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コラム

気ままに猫ぐらし 其の八


「にゃんこのヒゲの話」

 

以前、大型犬と暮らしている方の家にお邪魔したときのことです。その知人が「そろそろトリミングに行かなくちゃ。ヒゲも切ってもらわないと」とおっしゃったのを聞いて、たいそうびっくりしたものでございます。トリミングの経験のない私にとって「ヒゲを切る」というのが初耳だったからです。加えて「わんこはヒゲを切ってもいいんだ」と知り、驚いた次第です。

 

 

 

ご存知の方も多いかと思いますが、にゃんこの場合は、ヒゲを切ることはご法度でございます。というのも、にゃんこのヒゲは「精巧なセンサー」だからです。毛根部分には感覚神経や血管が集中していて、とても敏感。温度や風向きを察知できるのはもちろんのこと、先端が物に触れただけで、その距離感さえもわかってしまう超神技的ツールなのです。ヒゲは口もとだけではなく、目の上や頬など、顔のいたるところに生えています。その数は全部で60本程度。目の上から生えている毛は、てっきり「まゆ毛」だと思っていたのですが、実はヒゲだったのですね。

 

  

 

精巧なセンサーでもあるこのヒゲ、しっぽと同様に感情表現も担っております。普段、リラックスしているときは下向き。警戒していたり、恐怖や緊張を感じているときは頬に沿うように、先端が後ろ側に向きます。興味があるものに対しては、全体が広がり気味になって前にグッと出ます。じゃらしで遊んでいるときは、たいていこのヒゲの形になっています。この形になっているのを見ると、こちらまでワクワクして、大変愉快な気持ちになるのでございます。

 

 

ピンッと長く伸びた立派なヒゲを持っているにゃんこもいれば、そうでないにゃんこもおります。また、ヒゲも年齢とともに勢いがなくなっていくようでございます。拙宅にいるにゃんずのひとり、イールーは女の子で身体が小さく、さらに9歳という年齢もあるためか、か細くて短めの黒ヒゲでございます。一方、男の子のギージーは決して太くはありませんが、ピンッと張った若々しい黒ヒゲを持っております。しかし、イールーのか細いヒゲも、じゃらしで遊んでいるときは前にグッと出て、短いながらにパーッと広がり、とても愛らしいのでございます。

 

 

ヒゲの形を見るだけで、たいそう幸せな気持ちになれるのも、愛猫家の性でございましょうか。だとしたら、とてもご機嫌な性と言えましょう。

 

猫山ぎん 拝