コラム
日曜日の犬たち Ⅱ
オフィシャルひげ軍団シュナウザー
2021年4月26日
私はあれに魅了されている。インスタもピンタレストにも察知されている。あれとは、髭(ひげ)の奴らのことだ。端的申し上げると私は今、シュナウザーに夢中である。「ん?先生はプードルがお好きでは?」と思った訳知りの方にはお詫びを申し上げる。人の好みは日々変化するものなのだ。とにかく今、私の心は燃えている。あのひげに。
「シュナウザーは人のよう」と言われることがままある。いつもは異論を唱えがちな私だが、こと、この犬種についてのよもやま話には、それ、わかるぅ~。と、目をハートにさせながら同調する始末。人の目と声色を変えてしまうほどの魅力を持つシュナウザー。本犬を語るとき、まずもっとも特徴的である眉毛とあごひげについては書かねばなるまい。

シュナウザーはテリアのカテゴリーに属すと思っている方も多いだろう。しかし、ちがうのだ。驚いたことに(私だけかもしれないが)アッフェンピンシャーと同じ先祖、血脈を持つ。また、プードルのようにシュナウザーにおいても、大、中、小とサイズが分かれていると思われがちだ。しかし、本犬についてはスタンダードシュナウザー(中)がご本家。そこから生まれた小サイズの血統がよく見るタイプのミニチュアシュナウザー(小)である。では、ジャイアントシュナウザー(大)は?実はシュナウザーとはそれほど関係のない違うラインから作出された犬であり、ブビエデフランダースに近い血脈を持つ。
要約すると、我らの夢中なミニチュアシュナウザーは、テリアにあらず。サイズは2種類。ジャイアントシュナウザーは名前だけの仲間ということだ。

昔の図鑑で見るシュナウザーは粗野だ。眉毛もあごひげも伸び放題で無駄にとがった印象を受ける。だが、どうだ。今を生きるシュナウザーたちのビジュアルは。眉毛はマロまゆ、お口回りはふんわりモクモク。目がぱっちり見えるように長いまつ毛は残して刈るの。足先はブーツのように膨らませてね。ボディの毛を背中からほとんど抜くなんて信じられない!と、言わんばかりの垢抜け感に満ちている。
アンバーで丸く大きな瞳は少女漫画のようだし、濡れた漆黒のまつ毛には人をひれ伏させる魅力がある。革ジャンやスタッズの着こなしはお手のもの。スタイリッシュなモノトーンが嫌味にならないのは、シュナウザーの持って生まれた容姿を存分に生かしたカットがひと役かっている。

カットのバリエーションこそ少ないが固定されたそのフォームには無駄がない。大抵顔にばらつきが無くシュッとしているので、基本のシルエットさえ押さえれば十分に対応できる。可愛いシルエットをキープしたいがゆえに、シュナウザーの美容室利用頻度は高めだ。本犬もまた、日本トリマー界に大きく貢献しているというわけである。

ふと、気づけば月曜日。本文のタイトルは「日曜日の犬たち」である。おかしいかな。日曜午後にお届けするはずがどうにも一日ずれてしまった。なにしろ推しのこととなるといつも以上に写真の選定やらにのめり込んでしまうファン心理には、きっと多くの人が共感してくれるだろう。かくして、オフィシャルなひげニズム、愛すべきシュナウザーたちは本日も私の心とスマホの画面を満たしてやまない。
See you next Sunday!
岩井 ゆかり
