コラム
気ままに猫ぐらし 其の四
「にゃんこと、帽子」
ご近所に数々の鯉のぼりが並ぶ4月の終わり。風がなければ鯉は泳ぎませんので、初夏を感じるような心地よい風は端午の節句に必要不可欠でありましょう。

この季節は初老の私であっても、髪の乱れが気になる故、帽子を被ることがございます。帽子を被ってウロウロしていると、決まってギージー(1歳・男の子)が逃げまどいます。「何もしませんよ」と優しく声をかけても、腰を落としながらそそくさとベッドの下へ逃げ込むのです。

にゃんこは、嗅覚や聴力はとても優れていますが、視覚はあまりよくないようで、視力はヒトの十分の一程度しかないと言われています。では、目から入る情報は、何を頼りに判断しているのでしょう?それは、主に「シルエット」なのだそうです。だから、帽子を被ると「なんか違う!!」ということになるのですね。マスクや眼鏡は、シルエットが大きく変わることがないためか、まったく動じません。
視力はよくないかもしれませんが、ギージーの場合、テレビの中の指差し棒の先につている丸いものや三角のものに対しては、面白いほどよく反応いたします。天気予報やニュース番組で、解説の際に指差し棒が使われていると、大コーフンして前足で叩きまくっております。不規則に動くものを、捕まえたい衝動にかられるのでしょう。指差し棒が下におろされたりして、見えなくなると、テレビの裏側を確認することさえございます。思わず「テレビの中ですよー」と突っ込んでしまうのですが、夢中になっているギージーには、そんな声が聞こえるわけもなく…。ときには出演者の「手」や「指」に対しても、バシバシ叩いております。

こんなことをするのはギージーが初めてで、もうひとりのにゃんこ、イールー(9歳・女の子)は、一切、興味を示しません。最初に一緒に暮らしていたにゃんこ(享年16歳・男の子)も同様でした。私としては、指差し棒に反応するにゃんこを、生で見てみたいとずっと思っていたので、ギージーのおかげで夢が叶った次第です。その代償として、「液晶画面についた肉球の跡をこまめに拭く」という仕事が増えたのですが、「指差し棒追いかけにゃんこ」の姿を拝める幸せには代えられません。
かくして今日も、液晶用ウエットティッシュで肉球跡を拭き取りつつ、天気予報の時間を待ちわびる1日を過ごす猫山でありました。
猫山ぎん 拝
